1.近江への想い
滋賀県は、何か私を引き付けるものがある。
誕生が湖北の木之本のせいかもしれないが、生まれて2ケ月程で岐阜のほうへ転居しているので記憶には何も無いが、戸籍を見る度に想い出す。
小学校の頃、醒ケ井の天の川へ魚とりに行ったことや、彦根の松原水泳場によく行ったことでノスタルジアが蘇ってくるのかもしれない。
社会人となり、北陸へ出張した際に車窓から見た早春の雪を被った比良の山々や、琵琶湖にきらめく夏の太陽、近江平野を黄金色に染める稲架けや立ち昇る白い煙にやすらぎを覚え、何もかも白く包んでしまう冬の雪景色に近江路の四季を思い出した。
2.湖北へ
そんな思いを巡らしていたら、急に琵琶湖に沈む夕陽と稲架けが見たくなった。
想い立ったら、休日の少ない職業がら、グズグズはしておれない。
一宮インターより関ケ原インターまで名神高速道路を走り、関ケ原より国道365号を一路長浜へ、途中からは農免道路の方が快適に走れる。
関ケ原で下りずに、米原ジャンクションより北陸高速道路を走り長浜インターで下りる方法や、国道21号を米原で右折8号線を走るルートもある。
伊吹を越え、8号線を越えればすぐに琵琶湖と思いきや、「地図を持たない悲しさや」道が太陽の沈む方向に対して、斜めに斜めに向かっている。
陽は、だんだんと沈んでいく。
琵琶湖の汀線はまだ見えない。
あせった。道路を直角に曲って太陽を横目に見ながら、広そうな交差点を曲がり太陽の沈まないうちに、…やっと汀線に着いた。
太陽は、雲の間に沈んでしまっていた。疲れがドドッと出た。
星空を暫く待っていたら、日本海からの季節風に乗って氷雨が降ってきた。ここは北陸との境界線、時雨るのも早い。早々に帰ることにした。
こうして、一回目の沈む夕陽には巡り会えなかった。
前回の轍を踏まないように、今度は天気の良い日に早目に出た。
びわ町より2車線の湖岸道路が湖北町、高月町、木之本町へと続いている。
快適にひた走ると、竹生島の見える付近には夕陽と竹生島と鳥を撮影しようと、カメラマンがいるわ、いるわ。あっちに20〜30人、こっちに20〜30人、1q程の区間の10数箇所のポイントで、時は今かと待ちかまえている。
ここまで来たからには臆する訳にはいかない。駐車スペースをさがし、止めるとすぐにカメラを取り出して、人込みの中をかきわけ三脚を広げた。
★失敗その1
この辺りは、稲刈りが早くて9月上旬〜中旬との事。それに、今では稲架けの習慣が殆どないとのこと。
☆名所・旧跡
余吾湖、戝ケ岳、青岸寺の庭園、渡岸寺の観音さん
3.湖西へ
カレンダーを眺めていたら、竹生島と満開の桜が写真にあった。湖北へ夕陽を撮影に行ったおり、隣のカメラマン氏に聞いたところ、大崎の桜だと教えてくれた。一人でつまらないけれど、夜のドライブとシャレ込んで行ってみた。
湖岸道路を木之本まで走り、8号線へ出て西浅井町で左折、湖西の海津大崎町、マキノ町へ走る。
奥琵琶湖パークウェイは一部有料である。湖岸へ落ち込む稜線をひだのように曲がりくねっているが、まずまずの眺めである。
海津大崎町の桜は湖岸に並んで植っているが、この辺りの道路は非常に狭い。
この辺りは、日本海側の気候が影響して見頃は4月上旬から中旬が見頃だそうで、星野写真となると長浜や名古屋方面の明かりが強く、緑が被って飛んでしまった。
☆名所・旧跡
朽木の渓谷、近江舞子の雄松崎、白髭神社の朱塗りの鳥居、比良山系、藤樹書院跡、海津大崎の絶壁と岩礁と桜並木
4.湖東へ
彦根は井伊家35万石の居城であり、「月明かりの古城」は琵琶湖八景のひとつに数えられている。
湖東には、百済寺(愛東町)や金剛輪寺(泰荘町)西明寺(〃)の湖東三山と呼ばれる天台宗のお寺が、永源寺町には臨済宗の永源寺があり、古きたたずまいのお寺とのことで機会があれば行ってみたいと思っている。又、多賀町にはお多賀さんで親しまれている多賀神社や天体観測施設が開放されているダイニックがある。
よそ道にそれてしまったが、国宝に指定されている彦根城の梅園と城門を撮影して、京都方面に湖岸沿いに向かうことにした。
能登川町辺りまでよく整備された道だが、愛知川を越えた辺りから近江八幡の国民休暇村の辺りにかけては、曲がりくねった狭い道が続く。
大きくカーブを切ったところに突然集落が現れた。あとで判ったが、この辺りは長命寺で、日牟礼八幡宮と西国三十一番札所の長命寺がある。檜皮茸の本堂と三重の塔があり、「花の乱」のロケ地となった。
湖岸にヨットの帆柱が見えたので車を止めた。
丁度、帆柱の上に今まさにオリオン座が昇っている。チャンス!!
カメラを取り出しセット。
レリーズを切って1.2.3…と秒数を数えていた時、突然暗闇からライトがピカーと光り、車が動き出した。!?!
もう一度やり直し、カシャッ、レリーズを押して1.2.3…、また突然暗闇からライトがピカー。!?!?!「アベックめ」!!!
また、もう一度やり直し。
こんなことを2〜3度繰り返して、やっとの思いで撮影を終えた。後は結果を待つのみ。
★失敗その2
行く前に調べておいて、長命寺の緑の檜皮茸や三重の塔を撮るべきだった。
☆名所・旧跡
多賀大社、西明寺、金剛輪寺、百済寺、永源寺、石塔寺、大池寺、長命寺、近江八幡水郷めぐり(八幡堀と土蔵が堀の両側に立ち並び、舟着き場も残っていて、桜の季節には観光客でにぎわうとのこと)
湖南、京都への紀行文は、またの機会があれば、として戴きたい。
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