名古屋港は明治40年に開港されて以来、日本経済の発展に準じて急速に発展し、国際貿易港として君臨している。
地形を概まかに分けると、西・中・東の3区域で、日光川より以西の西2区・3区は貯木場や木場が集中しており、西4区の最南端に火力発電所が、港内側はコンテナ埠頭がせり出ている。中央部は新川・庄内川より中川運河・堀川の間、稲永・潮凪町・10号地・11号地(空見町)・フェリー埠頭・金城埠頭と続く。堀川より天白川にかけては東部を構成し、6・7・8・9号地(潮見町)があり、化学工場や発電所がある。その南は南1区・2区等で製鉄所等の重工業地帯である。江戸時代までは、遠く熱田神宮近くの大瀬子橋のたもとの宮の渡しが汀線だったわけだから、120年の間に3qほど(4000万u)が埋め立てられたわけである。
港内は中央部の金城埠頭の先端まで7qもあり、それぞれに船舶の停泊ができるようにドック形式となっているため、道路はいたるところで行き止まりや直角に折れている。まるで迷路のようで、車止めが低いため夜間大潮の時に海面と道路の見分けがつかず、かっては転落事故が多くあった。また、金城埠頭のほうでは暴走族が走り回っていたが、警察の取り締まりと夜間の閉鎖で、近年では平穏になってきている。
名古屋港では今、ビックプロジェクトとして伊勢湾岸道路工事が実施されている。延長7.6qの第二名神・東名を結ぶ道路で、総事業費5兆6千億円(第二名神・東名及び伊勢湾岸道路のすべてを含む)で21世紀初頭の開通を目指している。94年末に主塔(海面より190m)の構築が完了し、主桁の張り出しが着々と進んでいる。完成すれば世界で4位の斜長橋となる。
年賀状の写真を名古屋港で撮ろうと考えていたが、忙しくて仲々行く気になれない。段々と正月が近づいてくる。そんな暮れも押し迫った日、会社で「明け方に大きな星が輝いているが何か」との質問を受けて「ハッと」気がつき、翌朝まだ暗い内に起きだして勘を頼りに金城埠頭へとむかった。
幸い月齢もよし。月を見ながら車を走らせていたら、突然道路が無くなり急ブレーキを踏んだ。もう少し月を見すぎていたら、ドボーンとなりこの世ともおさらば、ウルフの皆に会えなくなるところであった。(私が居なくなり喜ぶやからはいないとは思うのだが、家の外には7人の敵がいると云うから案外近くにいたりして?!)「この先、海」とか「この先通行止め」とあるが、よそ見をしていては危険きわまりない。
車を止め、ドアを開けてでてみた。眠い目に朝の冷気がチクリと肌を刺し、大きく伸びをして思い切り新鮮な(あの辺はあまり奇麗ではないかな=あの辺りに住んでいる人には悪いが)空気を吸い込んだ。遠くに主塔がスックと天に向かって伸び、警戒灯がピカッピカッと光っている。橋の塔と三日月を入れる構図を考えて、もう少し南へ移動することにした。
金城埠頭より少し北側にフェリー埠頭があるが西側が金城西橋、貯木場を挟んで東側に金城橋があり、広角を使用するのであれば金城橋の上からがよく、標準を使用するのであれば金城西橋からがよいアングルになる。但し、大型のトラックが行き交うので、カメラを据付けるには橋台部分の振動の無いところに据えるとよい。しっかりと据付けて、カメラを出来るだけ低く据付けて安定させないといけない。
橋の上は、伊吹おろしの通り道であり、朝飯前の身体が吹飛ばされそうになった。見上げると漆黒の闇のなか無数の星がきらめき、東の空に細い三日月と金星が輝いている。やがて水平線が僅かに白く染まりはじめると夜明けの幕が切って落とされる。白から黄味を帯びそしてオレンジ色へとなり、漆黒の闇は、茄紺へそしてブルーへと七変化していく様は、何とも表現のしようが出来ない美しさである。山へ行く人は、疲れた身体で此の夜明けのページェントに酔いしれ、御来光を仰ぎみることで明日への活力となり、生きている喜びを感じているのであろう。そういえば昔、失恋をしたとき人は、悲しみを堪えるため朝日を見るという。そして年をとると夕陽に感謝するという事を想いだした。「あれから何年経ったろう」なんてセンチな事を思い出しながら、シャッターを切った。
名港西大橋は暫定2車線が開通しているが、直ぐ横へ平行に同様の橋が築造中である。西大橋を入れるアングルとしては、金城埠頭側より西を向いて撮るのが良いようだ。橋の直下より撮るのも面白い。
先日、西大橋の工事関係者から嬉しい話を聞いた。名古屋港の海が奇麗に成ったと云う。夜勤工事をしていると、海上を照らしている投光器にスズキが群がり、ルアーで50pより大きな魚が簡単に釣れるそうである。昔は、港内の魚は腹綿が黒くて食べられなかったが、今は外洋からの群遊魚でさしみにして美味しいとのこと。今夜のおかずにいかがでしょうか。釣りをご希望の方は、御一報下さい。内緒で釣れるようにとり計らいますが。
先日、知多市へ仕事でいった。産業道路を走っていたら、新宝町付近から名港大橋全体が一望できる。良いポイントはないかと捜し回り、南柴田町より南1区を入っていき、トヨタ自動車の駐車場から丁度真西に三大大橋が一望できる。夜は門が閉まるようだが、門の横に入れる空間があり簡単に入れるから、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。警備員にみつからないことと、海に落ちないことにお気をつけ下さい。成功をお祈り申し上げます。
(注) 伊勢湾岸自動車道の3つの橋(名港トリトン)は完成済みです。
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