但馬地区には温泉が多い。ただし信州や飛騨地区の様な有名な所は『城崎温泉』と『湯村温泉』ぐらいで、後はふるさと創生事業の1億円で穿泉したようなもので、雨後のタケノコのようにあちらこちらの自治体が採掘した結果のしろものである。だから湯治のような温泉はなく、今風のクアハウスか銭湯形式が多く、ミニ露天でお茶を濁している。まあこの辺りは、白山火山帯か大山火山帯に属しているわけであるから、どこを掘っても1000mも掘ればたいていはお湯が出るわけである。
八鹿町では現在、町興しとして温泉を穿泉している。1200m掘削して28度の泉脈に到達し、地元の地名から『トガ山温泉』と命名され、今後建物等が整備される事になっており、早く入れるようになればと期待している。
南隣町に、5年程前に出来た『養父温泉』がある。昨年、道の駅に指定を受け、改築工事も済んで以前に比べ格段と明るく良くなったが、200円アップの600円となり、この辺りでは一番高くなった。肌に優しい単純泉で、肌がヌルヌルして気持ちが良い。
東隣の町は蕎麦と城下町で有名な出石町で、そこには『乙女の湯』と言う可愛らしいネ−ミングの温泉がある。泉質が炭酸泉で養父温泉よりヌメリが濃く、鉄平石の上で滑りやすいので注意書きがしてある。ここの温泉の残念なことは、デーケアセンターとして発足したために洗い場や浴槽が小さい。
出石より更に東に20Km、但東町の『シルク温泉』がある。ここはお勧め出来る温泉である。温泉とホテルがセットであり、この「やまびこ」なるホテル、安くて細かい配慮が受けているらしい。らしいとは、温泉に入るだけで泊まった事がない。ここは、露天が広くてグーである。
北の隣り町には『ゆとろぎ』なるクアハウスがあり、水着持参で7種類程の温泉を楽しむことができ、休日は子ども連れやアベックで一杯である。裸浴で400円、日によって男湯と女湯が交互に代わり、広い浴槽の日と狭い浴槽の日がある。
その更に北へ20km程行ったところが、1200年前から湧き出でるかの有名な『城崎温泉』である。1昨年の暮れ、こちらに転勤して大晦日まで仕事をしていたが、午後より中止して城崎へ出かけた。駅前の旅館組合の案内所で「今晩泊まれますか?」と聞いたところ「ちょうど一部屋だけあいてます」との返事に「じゃお願いします」と申し込み、「これで今年の役落としを温泉で」と思いきや「何人様ですか?」と聞かれ、「ひとりです」と答えた所「あいにく部屋が一杯で」ときた。「いま空いていると言ったじゃないですか」といっても後はシランプリ。駅のJRに旅館斡旋センタ−があるとの事で行ってはみたが、ここも同じこと。年頃の女の人の一人宿泊と一緒にされたのではなく、かき入れ時に一人で一部屋占領されれば旅館にしたら困る事は判るが、何とも腹の立つ日であった。城崎には、外湯めぐりとして5つの趣向を凝らした銭湯があり、それぞれ300円で安いが、温泉の梯子は2軒がいいとこ。それ以上だとノボセテしまう。
城崎から北東へ25Km程行ったところにあるのが『久美浜温泉』である。ここは京都府で、流れる温泉を謡い文句としているが、残念ながらまだ入ったことがない。久美浜は、日本海に面して海岸線の砂浜が美しい曲線を描き、浜名湖の様に内海があり、カキの養殖が行われており、風光明媚で海の料理のおいしいところである。
城崎より西へ5Km行った付近から、とても美しいリアス式海岸が続く。日和山のマリンワ−ルド、竹野の鉱泉、柴山や香住にも温泉がある。
八鹿町より20Km西には、福井の大仏様の姉妹?である但馬大仏のある『村岡温泉』。ここはフッ素を多く含有していて源泉で48°Cでちょうど良い。
更に20Km西に、NHKのドラマで一躍有名となった温泉町の『湯村温泉』がある。被爆2世の温泉芸者の夢千代をモデルにして、吉永小百合が演じて映画にもなった。湯は川の流れの中から湧いており、此の辺り何処を掘っても湯が出るとのことで、地下の工事は大変とのこと。98°Cの温度はとにかく熱い。ここにはリフレッシュセンタ−があり、混浴で、滝湯、サウナ湯、酒樽湯などがある。但し水着着用で、受付でどんなサイズでも用意している。
湯村より北へ20Km、香住より20Kmの位置に『七釜温泉』と、2Km西に『浜坂温泉』があるが、どちらもまだ行ったことがない。七釜は12〜3軒の内湯旅館ばかりであり、いっぽう浜坂は『ユウトピア』なる湯治場?銭湯?がある。
まだ他に氷ノ山、ハチ北にもあり、西隣りの関宮町でも温泉を採掘中であり、まだまだ増える傾向にある。
こんなに温泉の事ばかり書いてユダってしまいそうなので、但馬の温泉巡りはこの辺で止めて、冷たいビ−ルでも飲モオ−ッと。
(注) 1997年現在の情報です。
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