西伊豆・堂ヶ島

1993年2月20日〜21日

 犬も歩けば親戚に当たる…などと感心されると妙な気分になってしまう。田舎に行けば、家の中だろうと外だろうと、親戚としょっちゅう顔を合わせるのは当たり前と思っていた。それのどこが不思議???

 思い込みというのはよくあることで、2月の伊豆行きも、両親の故郷に対しこれまでずっと抱いていた考えを見直す旅行となった。
 西伊豆、堂ヶ島。母の実家は国立公園の中にある。それもいわゆる一等地。窓を開ければ絵はがきのような景色が広がっている。
 常々、星の写真を山ばかりでなく海でも撮りたいと思っていたわりには、この地を撮影地として考えたことはなかった。その理由はと考えてみると、私が訪れる事の多い夏は「観光客が花火を打ち上げる」「暴走族が走り回る」などと、夜撮影できるような条件ではない。おまけに夏の海は海温が高いためか、空がすっきりと晴れることが滅多にない。過去十年を振り返って、オフシーズンに訪れた記憶はないが、大きなホテルが建ち並び、照明は多く、その上灯台もあるので、冬だってきっと空は明るいだろうと思い込んでいた。
 しかし、意外や意外、冬の堂ヶ島の夜は暗い。堂ヶ島の観光の中心地からは、いくつかの島が小さな入江をふさぐように浮かんでいる景色が見られる。夜、その島の向こうに、ちょうどオリオンが沈んでいく。そして水平線を横切る漁り火…と、なかなかロケーションはよいのだが、島が白っぽい岩から出来ているため、島の露出が適正だと他は暗く、他に合わせると島だけぼーっと浮いてしまうというように露出が難しい。ここはやはり、月夜の方がよさそうだ。
 他にも撮影できそうな場所はあった。祖母の家から5分ぐらいの高台にある沢田公園露天風呂。灯台のすぐ近くで、夜行ったわけではないので灯台の影響がどれぐらいあるのか定かではないが、広角でほどよい大きさに島が入り、北西の方向の星を撮影するのによさそうだ。
 また、祖母の家の前の浜辺からの眺めもなかなかのものだ。伊豆に出掛ける前、よい撮影地はないかと叔父や叔母に何度も電話で問い合わせたが、何のことはない、遠出などしなくても寝ながら撮影ができる場所があった。方角的には西北西から北(ホテルの明りがじゃまになるかも…)の方向が撮れそうだ。

 名古屋から少々遠いのが玉に疵だが、冬、伊豆に行ってみたいという方、是非声を掛けてください。宿は私が何とかします。ただし、お正月は止めましょう! 何しろ、親戚が多く、お年玉のことを考えると北海道に行くほうがずっと安上がりになるのだから…。


BACK