涼しさを求めて

1994年9月1日〜4日

 1994年の夏は、歴史に残る猛暑でした。雨も少なく、水不足で大きな問題となりました。毎日、最高気温が40度近くになり、我が家では、その年の最も暑いころクーラーがないばかりでなく、団地の最上階、南向き、日当たり良好のコンクリートという状況の中で、一日中いた私は、気がおかしくならないわけはありません。0Lの友達に、日中「いーね、いまクーラーがきいて、涼しいんでしょ?」と怪しげな電話をかけたり、毎日、近くのユニーに涼みに行き、店員に目をつけられたり、と悲しい夏を過ごしておりました。
 その暑さのおかげか、数年、行ってなかった北アルプスに涼をもとめて出かけることになりました。3泊4日の予定で、1日目と2日目は上高地に宿を予約しましたが、3日目の宿は、天気がよければ登山をして山小屋に泊まる予定で出かけました。

 1日目は上高地の河童橋を中心に田代池を散策し、のんびりしました。上高地の朝晩は涼しく、たいへん過ごしやすいのですが、日中天気がよいと意外に暑くなります。
 2日目は岳沢ヒュッテへ日帰りで出かけました。河童橋から往復六時間かかり、ふだんの運動不足がたたり、とても疲れてしまいました。
 3日目になり、朝から雲一つない快晴です。昼間は暑くなりそうないやな予感がしましたが、山小屋(涸沢ヒュッテ)を目指し、朝5時に宿を出発しました。山小屋までのコースタイムは6時間です。歩き出すとすぐにえらく(*)なり、「やめて帰りたい」「なんでこんなことしなくちゃいけないんだろう」と、ずーっと思いながら、苦しんでいたらなんとか到着しました。山登りはいつも苦しくて、でもそこにたどり着くと、その苦しい分だけうれしくて、気持ちがいいものです。そして、快晴の空の下、テラスで飲む冷たいビールは、もう最高です。でも、夕飯を食べると、そのまま疲れて寝てしまいました。
 私は、一緒に写真を撮る仲間がいないと、すぐ怠けてしまいます。ところが、夜中の12時頃トイレに起きたところ、外のすさまじい星空を見てしまいました。月のない暗い夜でしたが、星がすぐそこにせまってきているようでした。しばらくして布団にはいりましたが、なかなか眠れません。「どーしよう、撮ろうかなあ…」と思い悩んだ上、結局ごそごそと一人で用意をして外に出ました。「何でこんなつらい思いをしなきゃいけないの…」と、プンプン腹を立てながら撮影をしました。
 そして次の日は、寝不足でさらにフラフラになりながら下山しました。  「アーア 疲れた。もう二度といかない。」と、いつも思いながら、「また行くのかなあ。」と、心配な今日このごろです。

(*) えらい:「しんどい」「苦しい」という意味の名古屋弁。


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