彗星観測はゆったりと

1995年10月7日〜8日

 10月7日の土曜日は、いつもと同じように名古屋市内の某天体望遠鏡販売店で暇をつぶしていた。店員のT氏が、デ・ビコ彗星の尾が自宅で確認できたと、ちょっと自慢げに話しているので、今日あたり出かけてみようかという気になった。
 一人で出かけるには気が引けるので、最近入会したSu会員を犠牲者?にしようと決めて待つこと暫し。ところが、必ずと言っていいほど現れる同会員が来ない。それでは、他に誰かいないかとT氏に尋ねたら、最近パパになったD氏(以下「Dパパ」)が、出かける予定があるというので、とりあえず帰宅して準備に取りかかる。
 Dパパの帰宅は遅いし、彗星も明け方しか見えないので、D夫人にとりあえず連絡を入れて、AMIGA(パソコン)で時間をつぶす。
 10時頃、Dパパより翌日1時頃面ノ木で現地集合とのTELが入ったので、出発する。
 この日の名古屋市内の天候は順調だったが、面ノ木駐車場は雲海の中に沈んでいた。ここを諦めて、Dパパがハレー彗星の時に利用した、山頂側ゲート近くの駐車場まで移動する。ここは、先ほどよりも状況が良いとはいうものの(沈み行く上弦の月は煌々と地上を照らしていた)、朝日の昇る方はベタ曇り。彗星を拝むことは、到底不可能だった。
 しかし、少しずつではあるが雲が減り始めたので、機材を設置する。薄明に入り、雲は消えたとはいうものの、地上付近は靄がかかっていてなかなか見えない。A考房作成の位置予報図を唯一の頼りとして探すこと30分。ようやく彗星らしいものをとらえることになった。
 既に時刻は5時を過ぎていた。とりあえず、構図を決めて撮影を開始。これが目的のデ・ビコ彗星と確認できたのは、尾が見えはじめた5時30分頃であった。あわてて構図を取り直し、大急ぎで撮り直す。
 さらに、前日の新聞に写真が載った影響で、一般の人も来ており、この人たちのカメラに導入するのを手伝ったりして、あわただしく2時間が過ぎてしまった。
 百武彗星を見てしまったあとでは、大きい彗星という印象は薄いが、久しぶりに尾のある彗星であり、また試験の発表を4日後に控えていたので、特に印象に残っている。


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