あの頃の星空
銀河系中心部 さそり座〜いて座
- SHINO.K -
高校生の頃、新月近くの週末は、仲間と電車を乗り継ぎ『天体観測』に出かけた。
『観測』は大義名分。
晴れても曇っても仲間と一緒に一晩中いられる事が嬉しくて楽しくて、
それが何より大切だった。
星明かりに照らされた片田舎の小学校の校庭や丘の上は、
子鬼のような私達の楽園だった。

ぽたりぽたりと光の滴が、夜空に滲んでいたかのような、あの頃の星空。
鮮やかに塵を散りばめながら消えていった流星。夜空にこだます仲間達の歓声。

夜が更けて、隣にいたあいつも、語り疲れていつの間にか眠ってしまった。
そして虫の音がふと止むと、深い深い静寂が訪れる。

 ひとり見上げた夜空は、広大なる銀河系。
 深淵なる宇宙空間。

 あの頃うんと未来だった21世紀はあっという間にやってきた。
 あんなに仲の良かった仲間は散り散りになった。

 今でも私はひとり、こうして星を眺めていて、時々あの頃を思い出したりして・・・
 聞こえるはずのないあの頃の仲間の歓声を、夜空に幻のように聞いたりして・・・
長野県上村しらびそ
1998,4,4 3:07〜4:07 露出60分
Pentax67 55mmF3.5→5.6 E100S(+2増感)
赤道儀:EM200 ガイド鏡:FC60
自動追尾装置:ST-4

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